発達障害と自律神経失調症:見過ごされがちなストレス反応

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発達障害(ASDやADHDなど)の特性がある人は、周囲の環境や社会的なストレスに対して独自の反応を示すことが多くあります。

このようなストレスに対する反応の一つとして、自律神経失調症という現象が関係しています。

この記事では、発達障害と自律神経失調症のつながりについて、セルフチェックリストや豆知識を交えて分かりやすく解説していきます。

自律神経失調症の特徴

自律神経失調症は、心と体をコントロールする自律神経(交感神経と副交感神経)のバランスが崩れることで、さまざまな身体症状が現れる状態を指します。

具体的な症状としては、以下のようなものがよく見られます:

  • 頭痛、めまい、耳鳴り
  • 慢性的な疲労感
  • 動悸や不安感
  • 消化不良、便秘または下痢
  • 不眠や過度の眠気

これらの症状は、医療機関で検査をしても原因が特定できないことが多いです。

そのため、「気のせい」「ストレスだから」と軽視されがちですが、実際には自律神経のバランスが崩れていることが背景にあります。

発達障害と併発するのか?

発達特性のある人は、外部からの刺激に対して非常に敏感な場合があります。

例えば、光や音、温度変化、さらには社会的な人間関係なども、過度にストレスとして感じることがあります。

これが自律神経に負担をかけ、自律神経失調症に繋がりやすくなると考えられています。

ASDと自律神経失調症

ASDの人は、感覚過敏やコミュニケーション面の難しさを抱えていることが多いため、日常的に多大なストレスを感じやすく、交感神経が常に優位な状態にあることが多いです。

たとえば、洋服の肌触りが不快で仕事や勉強に集中できなかった経験のある人は、多いのではないでしょうか。

ADHDと自律神経失調症

ADHDの方は、衝動的な行動や集中力の問題から、ストレスを処理しきれず、体調不良を引き起こすことが少なくありません。

これにより、体が「常に緊張している状態」になり、副交感神経がうまく働かなくなります。

発達障害と自律神経失調症はイコールではない

これまで書いてきたように、発達の特性によって生じた困りごと(一次障害)が発端となって、自律神経のバランスが乱れてしまうことは、よくあることだと言えます。

ですが、発達障害だからと言って必ず自律神経失調症になるとは限りませんし、自律神経失調症になったからと言って背景に発達特性があるからだと決めつけることはできません。

大事なのは、自分の特性を把握して、ストレスのコントロールを心がけたり、より負荷の少ない環境を整えることで、自律神経のバランスをより良い状態にしていくことです。

自律神経失調症のセルフチェックリスト

自律神経失調症かもしれない、と感じたら、以下のセルフチェックリストを試してみましょう:

  • いつも疲れている、寝ても疲れが取れない
  • ストレスを感じると体に不調が現れる
  • 頭痛やめまいが頻繁に起こる
  • 手足が冷たく、温まりにくい
  • 簡単なことでイライラすることが多い
  • 心臓がドキドキする、息苦しさを感じる

これらの項目のうち、3つ以上当てはまる場合、自律神経失調症の可能性があるかもしれません。

日常的なストレス管理や生活習慣の改善が必要ですが、特に発達障害の方は、感覚の特性に応じたリラックス方法を取り入れることが大切です。

知っておくと役立つ豆知識

自律神経を整える方法として、次のことが役立ちます。

深呼吸

深くゆっくりとした呼吸は、副交感神経を活性化し、リラックスを促します。
毎日数分でも深呼吸を意識することで、ストレス軽減につながります。

軽い運動

ウォーキングやストレッチなど、軽い運動は自律神経のバランスを整えるのに効果的です。
特に自然の中での運動はリラックス効果が高いです。

感覚に優しい環境作り

発達障害を持つ方は、感覚過敏を引き起こす要因(騒音、強い光、匂いなど)を減らすことで、自律神経の負担を軽減できます。
家や職場の環境を、自分にとって心地よいものに整えることを心がけましょう。

この記事を書いた人
あべ先生

公認心理師、特別支援教育士、AGOメソッド®セラピスト、教育学修士。
障害児教育を専門に学び、公務員心理職として教育委員会に10年以上勤務、延べ3,500件の発達相談に対応。不眠を訴えるクライアントがボディケアで眠れるようになった経験をきっかけに、心の問題に対する体へのアプローチの有効性に関心を持つ。現在は、心理カウンセリングと自律神経を調整するセラピーを併用し、心と体をトータルにケアするサービスを提供している。

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